サイドボードの話
2015年11月9日 Magic The Gathering コメント (1)
サイドボーディングの難しさを象徴するのが、「大貂皮鹿」の例だと思う。
スタンでフェアリーが最強だったころ、「大貂皮鹿」というフェアリーキラーが「基本セット2010」に収録されて、発売前からフェアリー絶滅説がまことしやかに囁かれた。
「鹿はシカたない。」
というのが業界で流行語になっていたほどだ。
けれど、実際には「大貂皮鹿」を入れて強いデッキは限られてた。
当初は、「エルフ」や「続唱ジャンド」に鹿を投入するプレイヤーも多かったけど、これがほとんど役に立たなかった。
フェアリー側の対ビートダウン戦略は、「謎めいた命令」や「睡眠」で「ダメージレースをまくって勝つ」というものだったので、ビートダウンがサイドインする「大貂皮鹿」は、ただの3マナ3/3としか機能しなかった。
ビートダウン側にとって最良の戦略は、
「相手のダメージ源を排除することで、ダメージレースを優位にすること」であったので、
本当に必要だったのは、「霧縛りの徒党」と「ウーナの末裔」を除去できる「3マナ以下のインスタント」だった。(霧縛りの徒党の能力スタックが最高のタイミングであるため)
つまり、基本セット2010に収録された「破滅の刃」の方が、むしろ重要なパーツだったというわけだ。
これによって、フェアリー側は主たるダメージ源を失い、クリーチャーサイズで上回るビートダウンとのダメージレースが圧倒的に不利になり、そのままブロッカーを消耗して負けることになる。
じゃあ「大貂皮鹿」は使えないカードだったのかというと、そうではない。
実はクイックントーストからサイドインされる「大貂皮鹿」は驚異的な強さだった。
クイックントーストがフェアリーに負けるパターンは、相手のクロックに対して1体1交換していくものの、アドバンテージをとるための大味なカードをカウンターされ、消耗戦に負けてしまうことだった。
つまり、基本的には長期戦のゲームになるので、「相手のクロックを除去で捌いて、鹿でダメージを与え続ける」というサイド後の戦略が成り立つわけだ。
もう一つ例を紹介すると、この時期に「続唱スワン」というコンボデッキがあった。
フェアリーとの相性は最悪で、サイド後は変形サイドで12枚入れ替え、クリーチャーでビートダウンする戦略に切り替えてみても、全く勝てなかった。
しかし、「猛牛の目」という、全く見向きもされていなかったカードをサイドインすることで、相性が劇的に改善した。
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猛牛の目/Eyes of the Wisent (もうぎゅうのめ) (1)(緑)
部族・エンチャント ― エレメンタル(Elemental) LRW, レア
対戦相手1人があなたのターンの間に青の呪文を唱えるたび、あなたは緑の4/4のエレメンタル(Elemental)・クリーチャー・トークンを1体戦場に出してもよい。
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これにっよって4/4トークンが並ぶと、「血編み髪のエルフ」や「樹上の村」とともにビートダウンし、フェアリーを圧殺できてしまう。
もちろんトークンを出さないようにメインから動いてこられるかもしれないが、その時は続唱から「突撃の地鳴り」が着地して、結局圧殺できる。
これによって、メインは2-8ぐらいで不利だった相性が、6-4から7-3くらいにまで改善できた。
たった4枚のサイドインでこれほど相性が改善できたのは、「続唱」という特殊なシステムによるところが大きい。
しかし、サイドボードを戦略的に行うか否かで、これほどまでに差が出てしまう。
つまり、相手のデッキに対して強いカードで対策するのではなく、「相手の戦略に対して強い戦略で対策する」ということが大切なんだと思う。
「大貂皮鹿」は間違いなくフェアリーに強いカードだが、フェアリーに強い戦略のピースとしてふさわしいかどうかは限らない。
あ、ちなみにこの前アップした「緑白エルドラージランプ」は全然安定しなくてダメでした。
スタンでフェアリーが最強だったころ、「大貂皮鹿」というフェアリーキラーが「基本セット2010」に収録されて、発売前からフェアリー絶滅説がまことしやかに囁かれた。
「鹿はシカたない。」
というのが業界で流行語になっていたほどだ。
けれど、実際には「大貂皮鹿」を入れて強いデッキは限られてた。
当初は、「エルフ」や「続唱ジャンド」に鹿を投入するプレイヤーも多かったけど、これがほとんど役に立たなかった。
フェアリー側の対ビートダウン戦略は、「謎めいた命令」や「睡眠」で「ダメージレースをまくって勝つ」というものだったので、ビートダウンがサイドインする「大貂皮鹿」は、ただの3マナ3/3としか機能しなかった。
ビートダウン側にとって最良の戦略は、
「相手のダメージ源を排除することで、ダメージレースを優位にすること」であったので、
本当に必要だったのは、「霧縛りの徒党」と「ウーナの末裔」を除去できる「3マナ以下のインスタント」だった。(霧縛りの徒党の能力スタックが最高のタイミングであるため)
つまり、基本セット2010に収録された「破滅の刃」の方が、むしろ重要なパーツだったというわけだ。
これによって、フェアリー側は主たるダメージ源を失い、クリーチャーサイズで上回るビートダウンとのダメージレースが圧倒的に不利になり、そのままブロッカーを消耗して負けることになる。
じゃあ「大貂皮鹿」は使えないカードだったのかというと、そうではない。
実はクイックントーストからサイドインされる「大貂皮鹿」は驚異的な強さだった。
クイックントーストがフェアリーに負けるパターンは、相手のクロックに対して1体1交換していくものの、アドバンテージをとるための大味なカードをカウンターされ、消耗戦に負けてしまうことだった。
つまり、基本的には長期戦のゲームになるので、「相手のクロックを除去で捌いて、鹿でダメージを与え続ける」というサイド後の戦略が成り立つわけだ。
もう一つ例を紹介すると、この時期に「続唱スワン」というコンボデッキがあった。
フェアリーとの相性は最悪で、サイド後は変形サイドで12枚入れ替え、クリーチャーでビートダウンする戦略に切り替えてみても、全く勝てなかった。
しかし、「猛牛の目」という、全く見向きもされていなかったカードをサイドインすることで、相性が劇的に改善した。
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猛牛の目/Eyes of the Wisent (もうぎゅうのめ) (1)(緑)
部族・エンチャント ― エレメンタル(Elemental) LRW, レア
対戦相手1人があなたのターンの間に青の呪文を唱えるたび、あなたは緑の4/4のエレメンタル(Elemental)・クリーチャー・トークンを1体戦場に出してもよい。
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これにっよって4/4トークンが並ぶと、「血編み髪のエルフ」や「樹上の村」とともにビートダウンし、フェアリーを圧殺できてしまう。
もちろんトークンを出さないようにメインから動いてこられるかもしれないが、その時は続唱から「突撃の地鳴り」が着地して、結局圧殺できる。
これによって、メインは2-8ぐらいで不利だった相性が、6-4から7-3くらいにまで改善できた。
たった4枚のサイドインでこれほど相性が改善できたのは、「続唱」という特殊なシステムによるところが大きい。
しかし、サイドボードを戦略的に行うか否かで、これほどまでに差が出てしまう。
つまり、相手のデッキに対して強いカードで対策するのではなく、「相手の戦略に対して強い戦略で対策する」ということが大切なんだと思う。
「大貂皮鹿」は間違いなくフェアリーに強いカードだが、フェアリーに強い戦略のピースとしてふさわしいかどうかは限らない。
あ、ちなみにこの前アップした「緑白エルドラージランプ」は全然安定しなくてダメでした。
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