マジック回顧録 その2
2020年5月28日 Magic: The Gathering コメント (4)
「緑単」が「黒単」に勝つ方法は何か?
当時の私が考え出した結論は、「除去されないクリーチャーを入れる」ことだった。
例えばこういうクリーチャーだ。
----------------------------------------
シタヌールのケンタウルス (3)(緑)
クリーチャー — ケンタウルス(Centaur)
被覆(このクリーチャーは呪文や能力の対象にならない。)
エコー(3)(緑)(あなたのアップキープの開始時に、これが直前のあなたのアップキープの開始時よりも後にあなたのコントロール下になっていた場合、そのエコー・コストを支払わないかぎりそれを生け贄に捧げる。)
6/3
----------------------------------------
「シタヌールのケンタウルス」は、地元でパックの購入が不可能であった「ウルザスサーガ」のレアカードだったが、何とか2枚入手することに成功した。
しかし、「シタヌールのケンタウルス」ではタフネスが低く、相手のクリーチャーに相打ちを取られるのが関の山であった。
多少はマシになったが、相性を改善するには至らなかった。
ちなみに、マスクスブロックの「ネメシス」には、緑の最強コモンクリーチャー「ブラストダーム」が存在していたが、当時の私は、その強さを理解することが出来なかった。
だって3ターンで死ぬんだぜ?
トランプルも無いからチャンプブロックされるんだぜ??
----------------------------------------
ブラストダーム (2)(緑)(緑)
クリーチャー — ビースト(Beast)
被覆(このクリーチャーは呪文や能力の対象にならない。)
消散3(このクリーチャーは、その上に消散(fade)カウンターが3個置かれた状態で戦場に出る。あなたのアップキープの開始時に、それから消散カウンターを1個取り除く。できない場合、それを生け贄に捧げる。)
5/5
----------------------------------------
そこで、画期的なアイデアが生まれた。
「再誕のパターン」を「胞子カエル」にエンチャントし、ライブラリーから「悲哀の化身」を召喚するというアイデアだ。
----------------------------------------
再誕のパターン (3)(緑)
エンチャント — オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーが死亡したとき、あなたは「そのクリーチャーのコントローラーは、自分のライブラリーからクリーチャー・カードを1枚探し、そのカードを戦場に出し、その後自分のライブラリーを切り直す。」を選んでもよい。
----------------------------------------
胞子カエル (緑)
クリーチャー — カエル(Frog)
胞子カエルを生け贄に捧げる:このターン、与えられる戦闘ダメージをすべて軽減する。
1/1
----------------------------------------
悲哀の化身 (6)(黒)(黒)
クリーチャー — アバター(Avatar)
すべての墓地にあるクリーチャー・カードの合計が10枚以上である場合、この呪文はそれを唱えるためのコストが(6)少なくなる。
畏怖(このクリーチャーは、黒でもアーティファクトでもないクリーチャーによってはブロックされない。)
(T):クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。それは再生できない。
6/5
----------------------------------------
「ぶどう棚」を経由すれば、3ターン目に「悲哀の化身」を場に出すことが出来る。
しかも、当時の黒い除去といえば「黒でないクリーチャー」のみを対象にできるものばかりであり、「悲哀の化身」を除去することは出来ない。
まさに「黒は黒をもって制す」というわけだ。
まあ、その代わりカウンターやバウンスには弱くなったので、マルの青単には勝てなくなったのだが・・・。
----------------------------------------
この時期、私にとって、重要な出来事があった。
2つ上の先輩である、藤田さんと細川さんとの出会いだ。
彼らは私たちよりもマジック歴が長く、カード資産も豊富であり、デッキも強かった。
特に、藤田さんが使う「青単パーミッションコントロール」には、衝撃を覚えた。
「デッキの中にクリーチャーがたったの3枚」という、「コントロールデッキ」の概念に初めて出会ったからだ。
私の記憶だと、確かこのようなデッキだ。
----------------------------------------
【青単パーミッションコントロール】
1 泥棒カササギ/Thieving Magpie
2 変異種/Morphling
4 渦まく知識/Brainstorm
4 対抗呪文/Counterspell
3 火薬樽/Powder Keg
4 誤算/Miscalculation
2 撃退/Foil
2 妨害/Thwart
4 巻き直し/Rewind
1 誤った指図/Misdirection
2 威圧/Dominate
3 不実/Treachery
3 天才のひらめき/Stroke of Genius
20 島/Island
3 黄塵地帯/Dust Bowl
2 フェアリーの集会場/Faerie Conclave
----------------------------------------
今思えば、まだまだ改良の余地があるリストだが、当時の私にとっては衝撃のデッキだった。
悪名高き「リシャーダの港」が採用されていないのは、藤田さんが所有していなかったからだ。
「リシャーダの港」の強さは、当時はさっぱり分からなかったが、マスクスブロックのトップレアであり、当時のスタンダード環境では最高額の「4,000円」という販売価格であった。
ちなみに、ウルザブロックのトップレアである「マスティコア」も同じ価格だった。
(雑誌「ぎゃざ」での価格)
----------------------------------------
リシャーダの港
土地
(T):(◇)を加える。
(1),(T):土地1つを対象とし、それをタップする。
----------------------------------------
マスティコア (4)
アーティファクト クリーチャー — マスティコア(Masticore)
あなたのアップキープの開始時に、あなたがカードを1枚捨てないかぎり、マスティコアを生け贄に捧げる。
(2):クリーチャー1体を対象とする。マスティコアはそれに1点のダメージを与える。
(2):マスティコアを再生する。
4/4
----------------------------------------
その年の10月、いよいよ「インベイジョン」が発売された。
----------------------------------------
インベイジョン カードリスト
https://mtg-jp.com/products/card-gallery/0000099/
----------------------------------------
「インベイジョン」は多色を推進するエキスパッションであり、「マルチカラー」のカードが多数収録された。
これまで単色デッキを使い続けてきた私たちにとっては、初めての「多色デッキ」への挑戦となった。
それと同時に、初めて「スタンダード落ち」を経験することとなった。
ウルザブロックが使えなくなったことで、私の「再誕のパターン」デッキは崩壊し、新しいデッキを組み直さなければならなくなった。
ちなみに、インベイジョンにも象徴的なレアサイクルがある。
「伝説のドラゴンサイクル」だ。
友好3色のマナコストを持つドラゴン達は、それぞれが豪快な能力を持ち合わせていた。
こんな魅力的なドラゴン達に、私たちが惹かれないはずは無かった。
黒を使っていた「おすし」は、「粛清するものクローシス」をフィーチャーした「グリクシスカラー」のデッキを使っていた。
「貪欲なるネズミ」や「燃え立つ死霊」でハンデスしつつ、「はね返り」で妨害して、「粛清するものクローシス」でゲームを決めるデッキだ。
ちなみにこのデッキは、雑誌「ぎゃざ」で連載されていた漫画「デュエルファイター刃」で、主人公のライバルである「緋沼 晶(ひぬま あきら)」が使っていたものと同じだ。
(デッキリストが「ぎゃざ」に掲載され、その数ヶ月後に漫画にも登場した。)
ロシアチームの「ターニャ・V・カリーニン」が使う「ターボ・ジョークル」というデッキを打ち破ったシーンはとても印象的で、「引いたな?」と言ったときのアキラの表情は今でも鮮明に覚えている。
----------------------------------------
貪欲なるネズミ (1)(黒)
クリーチャー — ネズミ(Rat)
貪欲なるネズミが戦場に出たとき、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを1枚捨てる。
1/1
----------------------------------------
燃え立つ死霊 (2)(黒)(赤)
クリーチャー — スペクター(Specter)
飛行、速攻
燃え立つ死霊がプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーはカードを1枚捨てる。
2/2
----------------------------------------
はね返り (1)(青)(黒)
インスタント
パーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。その後そのプレイヤーはカードを1枚捨てる。
----------------------------------------
粛清するものクローシス (3)(青)(黒)(赤)
伝説のクリーチャー — ドラゴン(Dragon)
飛行
粛清するものクローシスがプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、あなたは(2)(黒)を支払ってもよい。そうした場合、色を1色選ぶ。その後、そのプレイヤーは自分の手札を公開し、選ばれた色のカードをすべて捨てる。
6/6
----------------------------------------
青を好むマルは、「神の怒り」や打ち消し呪文で妨害し、インベイジョンの最強ドロースぺル「嘘か誠か」でアドバンテージを獲得し、「獅子将マギータ」をフィニッシャーに据えた「カウンターマギータ」というアーキタイプを使用していた。
基本的には青白だが、「追放するものドロマー」のために黒をタッチしていた。
----------------------------------------
神の怒り (2)(白)(白)
ソーサリー
すべてのクリーチャーを破壊する。それらは再生できない。
----------------------------------------
嘘か真か (3)(青)
インスタント
あなたのライブラリーの一番上からカードを5枚公開する。対戦相手1人はそれらのカードを2つの束に分ける。あなたは一方の束をあなたの手札に加え、もう一方をあなたの墓地に置く。
----------------------------------------
獅子将マギータ (3)(白)(白)
伝説のクリーチャー — 人間(Human) スペルシェイパー(Spellshaper)
(2)(白)(白),(T),カードを2枚捨てる:獅子将マギータ以外のすべてのクリーチャーを破壊する。それらは再生できない。
3/3
----------------------------------------
追放するものドロマー (3)(白)(青)(黒)
伝説のクリーチャー — ドラゴン(Dragon)
飛行
追放するものドロマーがプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、あなたは(2)(青)を支払ってもよい。そうした場合、色を1色選ぶ。その後、選ばれた色のすべてのクリーチャーをオーナーの手札に戻す。
6/6
----------------------------------------
だが、しばらくすると、「レベル」と打ち消し呪文を組み合わせた「青白カウンターレベル」というアーキタイプに鞍替えしていた。
「カウンター・マギータ」は、小宮忠義氏がThe Finals00で準優勝したときに使用したデッキだ。インベイジョン後のスタンダードの初期に出てきたデッキだが、そこからメタゲームの変化につれて、「青白カウンターレベル」の方がメジャーになってきた。
ちなみに、当時の「パーミッションコントロール」といえば、「冥界のスピリット」をフィニッシャーに据えた「青黒ネザー・ゴー」が主流であった。
マルは「地底の大河」を持っていなかったため、手元にある「アダーカー荒原」を使える「カウンター・レベル」を選択したのだろう。
私たちのカード資産は限られていたので、自分がどの「ペインランド」を持っているかによって、選べるアーキタイプが限られていた。
----------------------------------------
冥界のスピリット (1)(黒)(黒)
クリーチャー — スピリット(Spirit)
あなたのアップキープの開始時に、冥界のスピリットがあなたの墓地にある唯一のクリーチャー・カードである場合、あなたは冥界のスピリットを戦場に戻してもよい。
2/2
----------------------------------------
地底の大河
土地
(T):(◇)を加える。
(T):(青)か(黒)を加える。地底の大河はあなたに1点のダメージを与える。
----------------------------------------
アダーカー荒原
土地
(T):(◇)を加える。
(T):(白)か(青)を加える。アダーカー荒原はあなたに1点のダメージを与える。
----------------------------------------
かく言う私は、もちろん緑を含むビートダウンを使うつもりであったが、当時は「ヤヴィマヤの火」をフィーチャーした「赤緑ファイヤーズ」が競技マジックの中心だった。
赤緑ファイヤーズは、1マナ域のマナクリーチャーから2ターン目に「ヤヴィマヤの火」を設置し、速攻を得た「ブラストダーム」や「はじける子嚢」の苗木トークンでビートダウンを仕掛けるデッキだった。
しかし、私は「カープルーザンの森」を持っていないばかりか、キーカードの「はじける子嚢」すら手元に無かったのだ。
----------------------------------------
ヤヴィマヤの火 (1)(赤)(緑)
エンチャント
あなたがコントロールするクリーチャーは、速攻を持つ。
ヤヴィマヤの火を生け贄に捧げる:クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+2/+2の修整を受ける。
----------------------------------------
カープルーザンの森
土地
(T):(◇)を加える。
(T):(赤)か(緑)を加える。カープルーザンの森はあなたに1点のダメージを与える。
----------------------------------------
はじける子嚢 (4)(緑)
エンチャント
消散7(このエンチャントは、その上に消散(fade)カウンターが7個置かれた状態で戦場に出る。あなたのアップキープの開始時に、それから消散カウンターを1個取り除く。できない場合、それを生け贄に捧げる。)
はじける子嚢から消散カウンターを1個取り除く:緑の苗木(Saproling)クリーチャー・トークンを1体生成する。それらのトークンは「このクリーチャーのパワーとタフネスはそれぞれ、はじける子嚢の上に置かれている消散カウンターの数に等しい。」を持つ。
はじける子嚢が戦場を離れたとき、はじける子嚢によって生成されたすべてのトークンを破壊する。それらは再生できない。
----------------------------------------
そこで、4枚揃えることが出来た「低木林地」を使い、緑白カラーのビートダウンを構築した。
「ブラストダーム」と「ハルマゲドン」を組み合わせた、「緑白ブラストゲドン」というデッキだ。
このデッキは、マナクリーチャーによるマナ加速で優秀なクリーチャーを高速展開し、「ハルマゲドン」で全ての土地を破壊することで勝ちを決めるというコンセプトだ。
このデッキを支えていた「ハルマゲドン」は、現代マジックでは考えられないほど「規格外のスペル」だ。
さらに、「パララクスの波」という強力な除去スペルの存在も大きかった。
----------------------------------------
【緑白ブラストゲドン】
4 極楽鳥/Birds of Paradise
4 ラノワールのエルフ/Llanowar Elves
4 リバー・ボア/River Boa
3 カヴーのタイタン/Kavu Titan
4 気高き豹/Noble Panther
4 ブラストダーム/Blastoderm
2 煽動するものリース/Rith, the Awakener
4 増進+衰退/Wax+Wane
3 ハルマゲドン/Armageddon
4 パララクスの波
12森/Forest
4 平地
4 真鍮の都/City of Brass
4 低木林地/Brushland
----------------------------------------
----------------------------------------
パララクスの波 (2)(白)(白)
エンチャント
消散5(このエンチャントは、その上に消散(fade)カウンターが5個置かれた状態で戦場に出る。あなたのアップキープの開始時に、それから消散カウンターを1個取り除く。できない場合、それを生け贄に捧げる。)
パララクスの波から消散カウンターを1個取り除く:クリーチャー1体を対象とし、それを追放する。
パララクスの波が戦場を離れたとき、各プレイヤーは、パララクスの波によって追放された、自分がオーナーであるカードを戦場に戻す。
----------------------------------------
ハルマゲドン (3)(白)
ソーサリー
すべての土地を破壊する。
----------------------------------------
今思えば、かなり壊れたスペルを擁したデッキではあったが、当時のメタゲームではティア―2~3程度のデッキであった。
それでも私はデッキの強さに満足していたが、長くは続かなかった。
2001年4月に「第7版」が発売されたことで、「ハルマゲドン」がスタンダード落ちしたからだ。
次回、【競技マジックへ】につづく
当時の私が考え出した結論は、「除去されないクリーチャーを入れる」ことだった。
例えばこういうクリーチャーだ。
----------------------------------------
シタヌールのケンタウルス (3)(緑)
クリーチャー — ケンタウルス(Centaur)
被覆(このクリーチャーは呪文や能力の対象にならない。)
エコー(3)(緑)(あなたのアップキープの開始時に、これが直前のあなたのアップキープの開始時よりも後にあなたのコントロール下になっていた場合、そのエコー・コストを支払わないかぎりそれを生け贄に捧げる。)
6/3
----------------------------------------
「シタヌールのケンタウルス」は、地元でパックの購入が不可能であった「ウルザスサーガ」のレアカードだったが、何とか2枚入手することに成功した。
しかし、「シタヌールのケンタウルス」ではタフネスが低く、相手のクリーチャーに相打ちを取られるのが関の山であった。
多少はマシになったが、相性を改善するには至らなかった。
ちなみに、マスクスブロックの「ネメシス」には、緑の最強コモンクリーチャー「ブラストダーム」が存在していたが、当時の私は、その強さを理解することが出来なかった。
だって3ターンで死ぬんだぜ?
トランプルも無いからチャンプブロックされるんだぜ??
----------------------------------------
ブラストダーム (2)(緑)(緑)
クリーチャー — ビースト(Beast)
被覆(このクリーチャーは呪文や能力の対象にならない。)
消散3(このクリーチャーは、その上に消散(fade)カウンターが3個置かれた状態で戦場に出る。あなたのアップキープの開始時に、それから消散カウンターを1個取り除く。できない場合、それを生け贄に捧げる。)
5/5
----------------------------------------
そこで、画期的なアイデアが生まれた。
「再誕のパターン」を「胞子カエル」にエンチャントし、ライブラリーから「悲哀の化身」を召喚するというアイデアだ。
----------------------------------------
再誕のパターン (3)(緑)
エンチャント — オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーが死亡したとき、あなたは「そのクリーチャーのコントローラーは、自分のライブラリーからクリーチャー・カードを1枚探し、そのカードを戦場に出し、その後自分のライブラリーを切り直す。」を選んでもよい。
----------------------------------------
胞子カエル (緑)
クリーチャー — カエル(Frog)
胞子カエルを生け贄に捧げる:このターン、与えられる戦闘ダメージをすべて軽減する。
1/1
----------------------------------------
悲哀の化身 (6)(黒)(黒)
クリーチャー — アバター(Avatar)
すべての墓地にあるクリーチャー・カードの合計が10枚以上である場合、この呪文はそれを唱えるためのコストが(6)少なくなる。
畏怖(このクリーチャーは、黒でもアーティファクトでもないクリーチャーによってはブロックされない。)
(T):クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。それは再生できない。
6/5
----------------------------------------
「ぶどう棚」を経由すれば、3ターン目に「悲哀の化身」を場に出すことが出来る。
しかも、当時の黒い除去といえば「黒でないクリーチャー」のみを対象にできるものばかりであり、「悲哀の化身」を除去することは出来ない。
まさに「黒は黒をもって制す」というわけだ。
まあ、その代わりカウンターやバウンスには弱くなったので、マルの青単には勝てなくなったのだが・・・。
----------------------------------------
この時期、私にとって、重要な出来事があった。
2つ上の先輩である、藤田さんと細川さんとの出会いだ。
彼らは私たちよりもマジック歴が長く、カード資産も豊富であり、デッキも強かった。
特に、藤田さんが使う「青単パーミッションコントロール」には、衝撃を覚えた。
「デッキの中にクリーチャーがたったの3枚」という、「コントロールデッキ」の概念に初めて出会ったからだ。
私の記憶だと、確かこのようなデッキだ。
----------------------------------------
【青単パーミッションコントロール】
1 泥棒カササギ/Thieving Magpie
2 変異種/Morphling
4 渦まく知識/Brainstorm
4 対抗呪文/Counterspell
3 火薬樽/Powder Keg
4 誤算/Miscalculation
2 撃退/Foil
2 妨害/Thwart
4 巻き直し/Rewind
1 誤った指図/Misdirection
2 威圧/Dominate
3 不実/Treachery
3 天才のひらめき/Stroke of Genius
20 島/Island
3 黄塵地帯/Dust Bowl
2 フェアリーの集会場/Faerie Conclave
----------------------------------------
今思えば、まだまだ改良の余地があるリストだが、当時の私にとっては衝撃のデッキだった。
悪名高き「リシャーダの港」が採用されていないのは、藤田さんが所有していなかったからだ。
「リシャーダの港」の強さは、当時はさっぱり分からなかったが、マスクスブロックのトップレアであり、当時のスタンダード環境では最高額の「4,000円」という販売価格であった。
ちなみに、ウルザブロックのトップレアである「マスティコア」も同じ価格だった。
(雑誌「ぎゃざ」での価格)
----------------------------------------
リシャーダの港
土地
(T):(◇)を加える。
(1),(T):土地1つを対象とし、それをタップする。
----------------------------------------
マスティコア (4)
アーティファクト クリーチャー — マスティコア(Masticore)
あなたのアップキープの開始時に、あなたがカードを1枚捨てないかぎり、マスティコアを生け贄に捧げる。
(2):クリーチャー1体を対象とする。マスティコアはそれに1点のダメージを与える。
(2):マスティコアを再生する。
4/4
----------------------------------------
その年の10月、いよいよ「インベイジョン」が発売された。
----------------------------------------
インベイジョン カードリスト
https://mtg-jp.com/products/card-gallery/0000099/
----------------------------------------
「インベイジョン」は多色を推進するエキスパッションであり、「マルチカラー」のカードが多数収録された。
これまで単色デッキを使い続けてきた私たちにとっては、初めての「多色デッキ」への挑戦となった。
それと同時に、初めて「スタンダード落ち」を経験することとなった。
ウルザブロックが使えなくなったことで、私の「再誕のパターン」デッキは崩壊し、新しいデッキを組み直さなければならなくなった。
ちなみに、インベイジョンにも象徴的なレアサイクルがある。
「伝説のドラゴンサイクル」だ。
友好3色のマナコストを持つドラゴン達は、それぞれが豪快な能力を持ち合わせていた。
こんな魅力的なドラゴン達に、私たちが惹かれないはずは無かった。
黒を使っていた「おすし」は、「粛清するものクローシス」をフィーチャーした「グリクシスカラー」のデッキを使っていた。
「貪欲なるネズミ」や「燃え立つ死霊」でハンデスしつつ、「はね返り」で妨害して、「粛清するものクローシス」でゲームを決めるデッキだ。
ちなみにこのデッキは、雑誌「ぎゃざ」で連載されていた漫画「デュエルファイター刃」で、主人公のライバルである「緋沼 晶(ひぬま あきら)」が使っていたものと同じだ。
(デッキリストが「ぎゃざ」に掲載され、その数ヶ月後に漫画にも登場した。)
ロシアチームの「ターニャ・V・カリーニン」が使う「ターボ・ジョークル」というデッキを打ち破ったシーンはとても印象的で、「引いたな?」と言ったときのアキラの表情は今でも鮮明に覚えている。
----------------------------------------
貪欲なるネズミ (1)(黒)
クリーチャー — ネズミ(Rat)
貪欲なるネズミが戦場に出たとき、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを1枚捨てる。
1/1
----------------------------------------
燃え立つ死霊 (2)(黒)(赤)
クリーチャー — スペクター(Specter)
飛行、速攻
燃え立つ死霊がプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーはカードを1枚捨てる。
2/2
----------------------------------------
はね返り (1)(青)(黒)
インスタント
パーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。その後そのプレイヤーはカードを1枚捨てる。
----------------------------------------
粛清するものクローシス (3)(青)(黒)(赤)
伝説のクリーチャー — ドラゴン(Dragon)
飛行
粛清するものクローシスがプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、あなたは(2)(黒)を支払ってもよい。そうした場合、色を1色選ぶ。その後、そのプレイヤーは自分の手札を公開し、選ばれた色のカードをすべて捨てる。
6/6
----------------------------------------
青を好むマルは、「神の怒り」や打ち消し呪文で妨害し、インベイジョンの最強ドロースぺル「嘘か誠か」でアドバンテージを獲得し、「獅子将マギータ」をフィニッシャーに据えた「カウンターマギータ」というアーキタイプを使用していた。
基本的には青白だが、「追放するものドロマー」のために黒をタッチしていた。
----------------------------------------
神の怒り (2)(白)(白)
ソーサリー
すべてのクリーチャーを破壊する。それらは再生できない。
----------------------------------------
嘘か真か (3)(青)
インスタント
あなたのライブラリーの一番上からカードを5枚公開する。対戦相手1人はそれらのカードを2つの束に分ける。あなたは一方の束をあなたの手札に加え、もう一方をあなたの墓地に置く。
----------------------------------------
獅子将マギータ (3)(白)(白)
伝説のクリーチャー — 人間(Human) スペルシェイパー(Spellshaper)
(2)(白)(白),(T),カードを2枚捨てる:獅子将マギータ以外のすべてのクリーチャーを破壊する。それらは再生できない。
3/3
----------------------------------------
追放するものドロマー (3)(白)(青)(黒)
伝説のクリーチャー — ドラゴン(Dragon)
飛行
追放するものドロマーがプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、あなたは(2)(青)を支払ってもよい。そうした場合、色を1色選ぶ。その後、選ばれた色のすべてのクリーチャーをオーナーの手札に戻す。
6/6
----------------------------------------
だが、しばらくすると、「レベル」と打ち消し呪文を組み合わせた「青白カウンターレベル」というアーキタイプに鞍替えしていた。
「カウンター・マギータ」は、小宮忠義氏がThe Finals00で準優勝したときに使用したデッキだ。インベイジョン後のスタンダードの初期に出てきたデッキだが、そこからメタゲームの変化につれて、「青白カウンターレベル」の方がメジャーになってきた。
ちなみに、当時の「パーミッションコントロール」といえば、「冥界のスピリット」をフィニッシャーに据えた「青黒ネザー・ゴー」が主流であった。
マルは「地底の大河」を持っていなかったため、手元にある「アダーカー荒原」を使える「カウンター・レベル」を選択したのだろう。
私たちのカード資産は限られていたので、自分がどの「ペインランド」を持っているかによって、選べるアーキタイプが限られていた。
----------------------------------------
冥界のスピリット (1)(黒)(黒)
クリーチャー — スピリット(Spirit)
あなたのアップキープの開始時に、冥界のスピリットがあなたの墓地にある唯一のクリーチャー・カードである場合、あなたは冥界のスピリットを戦場に戻してもよい。
2/2
----------------------------------------
地底の大河
土地
(T):(◇)を加える。
(T):(青)か(黒)を加える。地底の大河はあなたに1点のダメージを与える。
----------------------------------------
アダーカー荒原
土地
(T):(◇)を加える。
(T):(白)か(青)を加える。アダーカー荒原はあなたに1点のダメージを与える。
----------------------------------------
かく言う私は、もちろん緑を含むビートダウンを使うつもりであったが、当時は「ヤヴィマヤの火」をフィーチャーした「赤緑ファイヤーズ」が競技マジックの中心だった。
赤緑ファイヤーズは、1マナ域のマナクリーチャーから2ターン目に「ヤヴィマヤの火」を設置し、速攻を得た「ブラストダーム」や「はじける子嚢」の苗木トークンでビートダウンを仕掛けるデッキだった。
しかし、私は「カープルーザンの森」を持っていないばかりか、キーカードの「はじける子嚢」すら手元に無かったのだ。
----------------------------------------
ヤヴィマヤの火 (1)(赤)(緑)
エンチャント
あなたがコントロールするクリーチャーは、速攻を持つ。
ヤヴィマヤの火を生け贄に捧げる:クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+2/+2の修整を受ける。
----------------------------------------
カープルーザンの森
土地
(T):(◇)を加える。
(T):(赤)か(緑)を加える。カープルーザンの森はあなたに1点のダメージを与える。
----------------------------------------
はじける子嚢 (4)(緑)
エンチャント
消散7(このエンチャントは、その上に消散(fade)カウンターが7個置かれた状態で戦場に出る。あなたのアップキープの開始時に、それから消散カウンターを1個取り除く。できない場合、それを生け贄に捧げる。)
はじける子嚢から消散カウンターを1個取り除く:緑の苗木(Saproling)クリーチャー・トークンを1体生成する。それらのトークンは「このクリーチャーのパワーとタフネスはそれぞれ、はじける子嚢の上に置かれている消散カウンターの数に等しい。」を持つ。
はじける子嚢が戦場を離れたとき、はじける子嚢によって生成されたすべてのトークンを破壊する。それらは再生できない。
----------------------------------------
そこで、4枚揃えることが出来た「低木林地」を使い、緑白カラーのビートダウンを構築した。
「ブラストダーム」と「ハルマゲドン」を組み合わせた、「緑白ブラストゲドン」というデッキだ。
このデッキは、マナクリーチャーによるマナ加速で優秀なクリーチャーを高速展開し、「ハルマゲドン」で全ての土地を破壊することで勝ちを決めるというコンセプトだ。
このデッキを支えていた「ハルマゲドン」は、現代マジックでは考えられないほど「規格外のスペル」だ。
さらに、「パララクスの波」という強力な除去スペルの存在も大きかった。
----------------------------------------
【緑白ブラストゲドン】
4 極楽鳥/Birds of Paradise
4 ラノワールのエルフ/Llanowar Elves
4 リバー・ボア/River Boa
3 カヴーのタイタン/Kavu Titan
4 気高き豹/Noble Panther
4 ブラストダーム/Blastoderm
2 煽動するものリース/Rith, the Awakener
4 増進+衰退/Wax+Wane
3 ハルマゲドン/Armageddon
4 パララクスの波
12森/Forest
4 平地
4 真鍮の都/City of Brass
4 低木林地/Brushland
----------------------------------------
----------------------------------------
パララクスの波 (2)(白)(白)
エンチャント
消散5(このエンチャントは、その上に消散(fade)カウンターが5個置かれた状態で戦場に出る。あなたのアップキープの開始時に、それから消散カウンターを1個取り除く。できない場合、それを生け贄に捧げる。)
パララクスの波から消散カウンターを1個取り除く:クリーチャー1体を対象とし、それを追放する。
パララクスの波が戦場を離れたとき、各プレイヤーは、パララクスの波によって追放された、自分がオーナーであるカードを戦場に戻す。
----------------------------------------
ハルマゲドン (3)(白)
ソーサリー
すべての土地を破壊する。
----------------------------------------
今思えば、かなり壊れたスペルを擁したデッキではあったが、当時のメタゲームではティア―2~3程度のデッキであった。
それでも私はデッキの強さに満足していたが、長くは続かなかった。
2001年4月に「第7版」が発売されたことで、「ハルマゲドン」がスタンダード落ちしたからだ。
次回、【競技マジックへ】につづく
コメント
私は色々と思い違いをしていたのかもしれません。次回【】に期待します。
がんばって最後まで書きますね(´・ω・`)ノ
振り返りと自己満足のつもりで書いていたのですが、楽しんでいただけたのなら嬉しいです!